瓦の基礎知識

瓦屋根が選ばれる理由は?種類と特徴を徹底解説

ヒトツチ編集部

屋根には、雨や風などから家を守るという建物の耐久性にかかわる重要な役割があります。

そのため、屋根を選ぶ際には、屋根材についても注目しておくことが大切です。

本記事では、とくに屋根材の中でも「瓦屋根」に絞り、種類と特徴を形状と製造方法別にご紹介します。

最初に、なぜ瓦屋根が選ばれるのかを取りあげますので、新築やリフォームにかかわらず、瓦屋根を含めて屋根材を検討する際の参考にしていただけると幸いです。

瓦屋根が選ばれる要因の1つは耐久性の高さ

住宅金融支援機構が公表している「フラット35住宅仕様実態調査報告」によると、3000戸を調査した結果、屋根材のうち金属屋根のシェアが上昇していることが分かります。

とくに、阪神・淡路大震災が発生した平成7年度と比較すると、金属屋根だけが上昇しており、瓦屋根のシェアは相対的に低下しています。

このようなシェアの変化で想定されることは、地震や台風などの災害による影響が挙げられます。

しかし、平成29年度のデータを見ると、戸建て住宅全体の約50%が瓦屋根です。
瓦には、1400年も前に建設された建物で使われていたものが、いまでも残っている事例があります。

つまり、現代でも屋根材に瓦が選ばれる理由は、高い耐久性と長寿命であると言えるでしょう。

次に、瓦の種類と特徴を形状と製造方法別にご紹介します。

瓦の形状4種類

まず、形状の種類についてです。
瓦の形状には、主に4つの種類があります。

①J形瓦
②F形瓦
③S形瓦
④M形瓦

それぞれ以下に解説します。

①:J形瓦

Japanese(Japan)の頭文字を取ったと言われる「J形瓦」は、滑らかなカーブ形状が特徴で和瓦や日本瓦とも呼ばれます。

J形瓦は一般的に良く見られる種類の1つで、雨が降っても水切れが良く日本の気候に適した瓦です。

また、保湿性があるのも特徴で、カーブ形状によって適度な水分蒸発があり通気性に優れています。

独特なこのカーブ形状には、瓦同士が結束して、ずり落ちたりするのを防いでくれる効果もあります。

さらに、J形瓦には三大瓦と言われる伝統的な産地があります。

・三州瓦
愛知県三河地方発祥の瓦で、江戸時代頃に広がり始めたと言われている種類です。耐火性と耐久性に優れ、現在の住宅にも多く使用されている瓦です。

・淡路瓦
兵庫県淡路地方発祥の瓦で、細かい粒子の「なめ土」を用いた銀色の美しい外観が特徴的です。劣化しにくく、耐火性にも優れています。

・石州瓦
島根県出雲地方発祥の瓦で、独特な赤褐色によって「赤瓦」と呼ばれることがあります。三大瓦の中では薄くて軽いのが特徴で、高温で焼かれて製造されるため丈夫です。

以上が、有名な三大瓦です。

②:F形瓦

江戸時代にフランス人が日本で製造したと言われる「F形瓦」は、平たんな形状が特徴的な瓦です。

Flatの頭文字を取ったという説もあるように、その形状からF形瓦は平板瓦とも呼ばれます。

洋風の住宅だけでなく和風の住宅にも使用されていて、シャープな印象があることも特徴の1つでしょう。

また、シンプルでフラットな見た目によって屋根が広く見え、、都市部の現代的な住宅にも合う抽象的な屋根の表現となります。

さらに、凹凸がある他の種類よりも太陽光パネルを設置が容易で、形状もなじみやすいのがポイントです。

③:S形瓦

Spanishの頭文字を取ったと言われる「S形瓦」は、J形瓦よりも丸みを帯びたS字のカーブ形状が特徴の瓦です。

丸みのある形状に空気を含むため、保温性と通気性が高い特徴もあります。

また、温かみのある赤土色や、1枚の瓦がグラデーションになっているなどカラーのバリエーションが豊富です。

そのため、S形瓦は洋風住宅と相性が良い種類の1つです。

④:M形瓦

波形のようなM字形状が特徴的な「M形瓦」は、その形からふた山瓦と呼ばれることがあります。

他の種類よりも薄くすることができるため、M形瓦は軽量な瓦です。
ヨーロッパで古くから使われてきた瓦ですが、日本の住宅の風景にも良く馴染み、さまざまなスタイルの住宅に合いやすいという特徴もあります。

以上、形状の種類になります。
次に、製造方法を紹介します。

瓦の製造方法5種類

瓦の製造方法は、主に以下の5種類です。

①釉薬瓦
②いぶし瓦
③素焼き瓦
④セメント瓦
⑤スレート瓦
⑥モニエル瓦

それぞれ以下に解説します。

①:釉薬瓦

伝統的な日本住宅で最も使われている瓦は、「釉薬瓦」です。

粘土で瓦の形を作り釉薬と呼ばれるガラス質の塗料を塗って焼き上げる方法が、食器などの陶器を作る方法と似ているため、釉薬瓦は「陶器瓦」とも呼ばれます。

釉薬を塗ることで水を通しにくくするため、耐水性や耐久性に優れている特徴があります。

また、表面には艶があり、さまざまな色を表現できることも魅力です。

好みの特注色に仕上げ、屋根材を住宅の雰囲気に合わせることもできます。

②:いぶし瓦

お寺や神社などの屋根に使われていることが多い「いぶし瓦」は、釉薬瓦と同じく伝統的な種類の1つです。

釉薬瓦との違いは、粘土で瓦の形を作った後に釉薬を塗らずに窯の中でいぶす点です。

いぶし具合により、銀色や黒色の渋い色合いを出すのが特徴で、艶やかなガラス質の色合いと違った粘土の独特な風合いが魅力的です。

とくに純和風の住宅と相性が良く、防水性は比較的高くなりますが、表面塗料が塗られている瓦よりは耐用年数が短くなります。

③:素焼き瓦

いぶし瓦と同じく釉薬を塗らずに仕上げる「素焼き瓦」は、粘土そのものの赤い色合いが特徴の瓦です。

そのため、「銀瓦」とも呼ばれるいぶし瓦に対して、素焼き瓦は「赤瓦」と呼ばれることがあります。

鮮やかな赤い色合いが洋風の住宅と相性が良く、軽量で安価なものもあります。

④:セメント瓦

セメントと砂に水を混ぜたものを型に入れて形成した「セメント瓦」は、焼かずに仕上げるのが特徴の瓦です。

粘土瓦は焼く工程での収縮により廃棄する瓦が発生しますが、焼かずに仕上げることで生産効率が上がるため、セメント瓦はコストを抑えることが可能です。

また、形や色のバリエーションが豊富で外壁の色や建物の雰囲気に合わせやすい特徴もあります。

しかし、他の瓦よりも重量があるセメント瓦は、耐用年数が短く塗装のメンテナンスも必要になることから、近年ではあまり使われなくなっています。

⑤:スレート瓦

スレート瓦は、セメントに繊維素材を混ぜて薄い板状にした屋根材です。化粧スレートとも呼ばれ、近年の新築住宅で見られるようになりました。

陶器瓦の約半分程度の重量のため耐震性に関して有利という点や、金属の屋根材などと比べても比較的安価というのも注目されている理由でしょう。

しかし、化粧スレートは金属と同様に着色面が剥離したりするため、5〜15年ほどで機能が劣化する可能性があります。

⑥:モニエル瓦

セメント瓦と似た「モニエル瓦」は、着色スラリー塗装がされている瓦です。

着色スラリーはコンクリートと同質の無機質着色剤で塗装した防水層のことです。

そのためモニエル瓦は耐水性に優れていて、コンクリート瓦と呼ばれることがあります。

しかし、セメント瓦と同じく近年では使用されることが少なくなっている瓦ですので、葺き替え時などは精通しているリフォーム業者に依頼すると安心です。

粘土を使った瓦がコスト的にも有利

以上、瓦の種類や特徴を形状と素材に注目してご紹介しました。

瓦を検討する軸はいくつかありますが、その中でも長期的なコストと短期的なコストで判断する方法があります。

化粧スレートを使えば、初期費用をおさえることができます。

一方で、機能劣化やメンテナンスなどを考えると、初期費用がかかるものの、粘土を使った瓦のほうが、20〜30年という単位ではお得になるという見方もできます。

それぞれの瓦の特性や予算を踏まえて、適切な瓦選びを行いましょう。

弊社、株式会社鶴弥は粘土瓦業界で初の上場企業として、全国の粘土瓦シェアの約30%にあたる最大規模の生産能力と幅広い製品ラインナップを取りそろえたリーディングカンパニーです。

自然災害から皆様の安心・安全を守るため、粘土瓦初の防災機能を備えた「防災瓦」も開発いたしました。

下記ページでは施工事例をご紹介しておりますので、参考の上、ぜひご相談ください。

施工事例 | 【三州瓦】防災瓦の株式会社鶴弥

寄稿者
ヒトツチ編集部
ヒトツチ編集部
「ヒトツチ」は株式会社 鶴弥が運営するメディアです。古いと思われがちな瓦という建材について、現代の建築家たちがどのように感じ、どのような活用に取り組んでいるのか。寄稿、インタビュー、トークイベントなどの方法で、瓦についての様々な思考を広く共有していきたいと考えています。
「瓦の基礎知識」のカテゴリー内の記事は、瓦メーカー鶴弥と建築設計者の監修のもと制作されています。
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