瓦の基礎知識

屋根の葺き替えタイミングとメリットとは?工事期間や費用も紹介

ヒトツチ編集部

住宅の屋根は、耐久性のある屋根材を使用していても、劣化が進行して葺き替え(ふきかえ)が必要になる時期がやってきます。

葺き替えは、頻繁に行う屋根工事ではないため、以下のような疑問があるのではないでしょうか。

「屋根の葺き替えはいつ検討すれば良いのか」
「葺き替えのメリットは何か」
「葺き替えに必要な工事期間や費用はどのくらいか」

本記事では、屋根の葺き替えが必要なタイミングやメリットと、工事期間・費用について紹介します。

葺き替えに活用できる補助金についても取り上げますので、屋根の工事を検討する際に参考にしてください。

屋根の葺き替えとは

「葺き替え」とは、既存の屋根材を撤去して、新しい屋根材を施工することです。

屋根材と同時に、下地材の野地板や防水紙も補修・交換するのが一般的です。

葺き替えは、屋根を新品同様の状態にリフォームするため、屋根の修理としては大規模な工事になります。

屋根の葺き替えをする3つのタイミング

屋根の葺き替えは、どのような場合に行うのが良いのでしょうか。

葺き替えを検討すべきタイミングは主に3つあります。

①雨漏りがしている
②屋根材の傷みが激しい
③築30年以上経っている

それぞれ解説します。

①:雨漏りがしている

屋根材に割れやズレが発生しても、基本的に防水紙が機能していれば雨漏りは起こりません。

そのため、雨漏りが発生していれば、屋根材に限らず下地部分にも補修が必要なケースがほとんどです。

例えば、大雨の日に1〜2箇所で雨漏りが発生していたら、下地材も交換する葺き替えを検討します。

また、雨漏りを長く放置している場合は、野地板まで腐食が進んでしまう可能性があります。

雨漏りがしている場合は、できるだけ早めに工事をした方が良いでしょう。

②:屋根材の傷みが激しい

屋根材の一部分だけがズレたり、軽度の割れや欠けがある場合は部分補修で対応することができます。

しかし、多数の割れや剥がれ、穴あきなどが屋根に発生していると、下地材まで傷んでいる可能性があります。

屋根材の傷みが激しい場合は、下地材も確認して、屋根材と下地材を一緒に工事ができる葺き替えが最適です。

③:築30年以上経っている

屋根はメンテナンスを行っていても、常に雨風や直射日光などの影響を受けています。

そのため、屋根材の寿命を過ぎてしまうと、葺き替えで工事する必要が出てきます。

素材によって耐用年数に違いはありますが、築30年以上の住宅は雨漏りが発生していなくても、屋根の状態をチェックしておくと安心です

屋根の葺き替えをする3つのメリット

屋根の葺き替えをするメリットは、主に3つあります。

①住宅が長持ちする
②雨漏りなどのトラブルを回避できる
③家の外観が美しくなる

それぞれ解説します。

①:屋根や住宅が長持ちする

1つ目は、住宅が長持ちする点です。

葺き替えは屋根材を取り外して、下地材を目視で確認しやすい工事です。

とくに、築年数が古い家は、屋根材だけでなく下地材も劣化しているケースが多くなります。

屋根材と下地材を交換すれば、結果的に住宅の寿命が長くなるでしょう。

また、劣化した屋根は居住空間を雨風から守るという役割を果たすことができません。

そのため、寿命が過ぎて傷んだ屋根を葺き替えすれば、屋根が新しくなると同時に住宅を長持ちさせることもできます。

②:雨漏りなどのトラブルを回避できる

2つ目は、雨漏りなどのトラブルを回避できる点です。

先述の通り、葺き替え時には下地材まで含めて全体の状態を確認しやすいため、雨漏りにつながるような劣化箇所を発見することができます

下地も一緒に修繕や交換をするチャンスですので、入念に確認をしましょう。

③:家の外観が美しくなる

3つ目は、家の外観が美しくなる点です。

家の大部分を占める屋根は、建物に対する印象を左右すると言えるでしょう。
屋根が新品同様になる葺き替えで、家の外観が一新して美しくなります。

また、既存の屋根材を別の素材や色に変更すれば、家の印象が変わり、イメージチェンジにもなります。

屋根の葺き替えにかかる工事期間

次に、屋根の葺き替えにかかる工事期間をご紹介します。

工事期間は、一般的に7〜10日程度、長くても3週間が目安です。

ただし、屋根材によって日数が変わったり、天候が良くない時期は工期がかかる場合があります。

葺き替えの主な工程と日数は以下の通りです。

①足場の設置:1日
②屋根材の撤去:1〜2日
③下地材の補修や設置:1日〜3日
④新しい屋根材の設置:2日〜5日
⑤足場の解体:1日

足場の設置は屋根の葺き替えで必要不可欠な工程です。

また、屋根に限らず住宅の外装工事では足場が必要になるケースがほとんどでしょう。

そのため、例えば外壁塗装や雨どいの交換などの工事も検討している場合は、葺き替えと同時に進めるのがおすすめです。

一緒に行うと、足場の設置・解体作業が1回で済むため、それぞれ別のタイミングで工事をするよりも、コストを抑えることができます。

屋根の葺き替え費用と補助金

最後に、屋根の葺き替え費用と補助金についてご紹介します。

屋根の葺き替え費用

屋根の葺き替え費用の目安は、一般的な30坪の戸建て住宅の場合、140万〜200万円です。

主な内訳は、以下です。

①足場など仮説工事費:15万〜30万円
②既存屋根材の撤去費:12万〜20万円
③下地材の補修費や設置費:20万〜30万円
④新しい屋根材の材料費や工事費:40万〜100万円

既存の屋根にアスベストが含まれていると、法令により10万〜30万円程度の特別な撤去費用がかかります。

また、道路が狭いなど資材の搬入に時間がかかる際には、追加費用が必要になる場合があります。

屋根の葺き替え費用は、既存の屋根材・新しい屋根材や屋根の面積、傾斜や形状などによって費用に違いが出てきます。

そのため、業者に現地調査と見積もりを依頼して、内訳の内容で分からない点があれば必ず確認しておきましょう。

屋根の葺き替えに活用できる補助金制度

屋根の葺き替えで活用できる補助金制度があります。

主な補助金制度は以下の通りです。

①省エネリフォーム
②耐震リフォーム

それぞれ解説します。
  

①:省エネリフォーム

省エネリフォームで対象になりやすい主な条件は、以下のような工事になります。

・太陽光パネルを設置する
・断熱性が向上する屋根にする
・屋根材に含まれるアスベストを除去する

他にもさまざまな条件がありますが、環境にやさしい家にする点がポイントです。
  

②:耐震リフォーム

耐震リフォームで対象になりやすい主な条件は、既存の屋根材を葺き替えて屋根を軽くする工事です。

また、耐震リフォームの補助金は1981年5月31日以前に建てられた、旧耐震基準の時期の建物が対象になるケースがほとんどでしょう。

耐震基準法の改正により、現在の基準よりも耐震性が低い建物になるためです。

どの補助金でも対象になりにくい条件は、例えば、屋根の経年劣化による雨漏りで葺き替え工事をしたケースです。

単に屋根の機能維持を目的とした工事ではなく、省エネや耐震性の強化を目指すための条件を踏まえて活用する必要があります。

補助金制度には、国や自治体によって条件や申請方法など違いがありますので、地元の制度に詳しい業者に相談すると安心です。

適切なタイミングで葺き替えをするには信頼できる業者に相談しよう

以上、屋根の葺き替えが必要なタイミングやメリットと、工事期間・費用をご紹介しました。

家を長持ちさせるために適切なタイミングで葺き替えをするには、信頼できる専門の業者に相談してはいかがでしょうか。

弊社、株式会社鶴弥は国内最大手の粘土瓦メーカーです。

弊社主催の講習を修了した施工店を「鶴弥スーパートライ登録施工店」としてご紹介しておりますので、以下の施工事例ページを参考の上、ぜひご相談ください。

施工事例 | 【三州瓦】防災瓦の株式会社鶴弥

寄稿者
ヒトツチ編集部
ヒトツチ編集部
「ヒトツチ」は株式会社 鶴弥が運営するメディアです。古いと思われがちな瓦という建材について、現代の建築家たちがどのように感じ、どのような活用に取り組んでいるのか。寄稿、インタビュー、トークイベントなどの方法で、瓦についての様々な思考を広く共有していきたいと考えています。
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